1932

雑誌掲載作品 掲載誌 内容
「逝きし妻」 「主婦之友」?-9月号-8年3月号 三條信子名義。尾崎秀樹「評伝山中峯太郎:夢いまだ成らず」による。
「大陸非常線」 「富士」1-10月号 .
「秋山好古」 「現代」1-12月号 「文芸年鑑」による。
「黄色の風雲」 「朝日」?〜11月号〜? 「新青年」11月号付録による。「新しい国家を建設することを理想としている陸軍中尉山梨皆太郎は、全支那を席捲せる革命の嵐を見て如何なる活躍をするか?」
 「申歳の危機」  「雄弁」1月号「第一大附録 新時代五分間演説集」  
「映画界に燦き初めた三星ー若水三姉妹絹子・照子・登美子の相縁奇縁物語」 「「主婦之友」1月号 石上欣哉名義
「薄命と闘ひて燦ける映画女優岡田静江の愛別秘曲」 「主婦之友」2月号 石上欣哉名義
 「人妻から処女へ還った涙の奇跡田中絹代の新生綺話」  「主婦之友」3月号  石上欣哉名義
「親」 「オール読物号」3月号 「文芸年鑑」による。
「古賀連隊長二大殊勲」 「講談倶楽部」3月号 .
「逝ける処女と結婚して哭く……片岡千恵蔵の純愛涙史」 「主婦之友」4月号 石上欣哉名義
「紅い支那封筒」 「講談倶楽部」4月号 .
「サルマタの突撃」 「文学時代」5月号 「文芸年鑑」による。
「林大八聯隊長」 「富士」5月号 「大衆文学大系別巻・通史資料」(昭和55年、講談社)の「主要雑誌総目次」による。
「偉大なる天才歌手として世界に燦ける三浦環夫人の愛恋秘曲」 「主婦之友」5月号 石上欣哉名義
「市川春代の肉親物語」 「主婦之友」6月号 石上欣哉名義
「佐久間妙子の哀恋悲歌」 「主婦之友」7月号 石上欣哉名義
「大東の鉄人」 「少年倶楽部」8月号-8年12月号 .
「日露未来戦」 「日の出」8月号 「文芸年鑑」による。
「琴糸路の生さぬ仲物語」 「主婦之友」8月号 石上欣哉名義
「山中峯太郎先生曰く」 「日曜報知」121号(9月18日号) ※鶴見祐輔『子(母続篇)』へのコメント。黒田明氏のご教授による
「皇軍四騎敵中挺進」 「少年世界」9月号-8年1月号 .
「第三の暁」 「日の出」8月号-8年12月号 国会図書館「『日の出』荘目次1(1)〜14(7)」による
「世の波越えて」 「家の光」9月号ー8年12月号 .
 「レコード界の花形と讃へられる小唄勝太郎の愛情綺話」  「主婦之友」9月号  石上欣哉名義
「日本が世界へ誇る箏曲の権威宮城道雄氏夫妻の受難秘曲」 「主婦之友」10月号 石上欣哉名義
「黄色の風雲」 「朝日」10-12月号 「文芸年鑑」による。
「歩哨小屋の傷跡」 「講談倶楽部」11月号 .
「本庄将軍に満州を訊く」 「現代」11月号 「文芸年鑑」による。
「楽劇の若きスターと燦ける水の江滝子の舞台裏物語」 「主婦之友」11月号 石上欣哉名義
「本庄繁将軍」 「日の出」11月号 「大衆文学大系別巻・通史資料」(昭和55年、講談社)の「主要雑誌総目次」による。
「山中峯太郎田河水泡両先生の兵営訪問」 「少年倶楽部」11月号 .
「日の出」「朝日」「少年世界」などにも執筆を始める(山下恒夫編「山中峯太郎年賦」による)。
     
  書籍名     出版データ  
 「極東万歳」  成武堂、6月    
 「聖なる乳房」  新潮社、6月  「主婦之友」に連載されたものの単行本化。会社副社長の成田東二郎とその妻文子、子供の東雄と幸子を軸に物語が展開する。成田は会社の悪徳顧問弁護士黒木とその愛人清川光弥にたぶらかされ、会社の金六万円を着服し、妻子を捨てて光弥の家に入り浸っている。ちょうどその時上京してきていた文子の母親が脳溢血で倒れた。文子の妹で三越に務める圭子、圭子の恋人で帝大生の英樹は必死で成田を探すがみつからない。一方で三越の上客で銀行家の息子宮部が圭子に色目を使うようになる。成田の会社の社長は大株主の大塚に事情を説明すべく文子を同道させるが、なんと大塚はかつて文子と愛し合っていたが、親の反対で別れざるをえなかったかつての恋人であった。成田は家に帰るなり全財産をもって姿をくらまし、黒木が現れ一方的に離婚届に判を捺すように強要する。入院費にことかくあまり、圭子は宮部の父親の秘書にという話を受けることにし、それをきいた英樹は煩悶する。  
 「輝く日本魂」  新潮社、8月5日

挿画:鈴木御水・伊藤幾久造
装幀:鈴木御水
 「正義は勝つ」
「金州城外に鮮血紅し」
「玄武門の勇士」
「尋ぬる三度」
「敵陣潜行十八日」
「東郷元帥の左手」
「大挺進騎兵」
「乃木将軍の面影」
「愛犬は何處に」
「軍旗聖戦記」
「祖国愛に生きよ」
「空中戦に燦く日本魂」
「廟行鎮の血しぶき」
「死の凱旋」
 
 「亜細亜の曙」  【著者名】 樺島 勝一/装幀・挿絵
【出版者】 大日本雄弁会講談社
【初版年】 1932/09/10
【ページ】 438p
【大きさ】 20*14cm
 言うまでもなく、山中峰太郎の代表作品の第一であり、日東の剣侠児・本郷義昭の代表作でもある。筋書きをくり返すのも面映いが、つまりは陸軍の軍事機密を盗み出した◯国根拠地に本郷義昭は潜入し、奴隷として働かされていたインド人王子ルイカールと協力して奪還するというものである。この◯国というのははっきり本文ではかかれていないが、おそらく米国であり、この根拠地巌窟城はフィリピンあたりにあると想像される。(当時フィリピンは米国の植民地だった)
波乱万丈、危機また危機の息もつかせぬ筋書きは、現在映画を見なれたわれわれには目新しくもないが、戦前にはじめてこの文章とであった少年達にとっては、新鮮な驚きだったであろう。三一書房版の月報に横田順弥がこうかいている。
「イアン・フレミングの007シリーズで、多くの友人たちが、あれはおもしろいといって読んでいるのに、ぼくにはちっとも、おもしろくなかった。現代世界でジェームス・ボンドがやっていることは、もうとっくのむかしに、本郷義昭がやっているのだ。(もっとも本郷義昭は、女性には手を出さなかったが)」
横田のいうとおりである。ただし本郷義昭にはボンドの女癖や酒癖といった「悪い」部分がないし、着るもの食べるものに対するこだわりもないので、いささか人物表現としてはものたりないところがあるのは否めない。しかし大洪水におそわれ、大地からただひとつ突き出した蟻塚に命をすくわれ、そのシロアリを口にして飢えを凌いだのもつかの間、こんどは敵に襲われるというスピード感は今でもけっして見劣りすることはなく、むしろ凡庸な後期のボンド映画よりも手に汗にぎるくらいである。
 
 「人生突進記」  新潮社、11月