1957

雑誌掲載作品 掲載誌 内容
「黒星博士」 「小学四年生」4月号~33年3月号~「小学五年生」33年4月号~34年3月号~「小学六年生」34年4月号~35年3月号 「密室系」安達さん、佐山さんの「少年探偵小説・作家別リスト」による。
 「親鸞白書を拝して」  「大乗ブディストマガジン」9月号  
     
  書籍名     出版データ  
 「黒い魔船」  (3月10日)
ドイル「名探偵ホームズ全集」(ポプラ社)
 「黒い魔船」「疑問の「十二時十五分」」「オレンジの種五つ」「ライオンのたてがみ」  
 「禅とは何か」  至文堂、6月    
 「敵中横断三百里」  小山書店新社、10月  昭和32年に小山書店新社から発行された新版である。(240p、19cm、昭和32年10月5日初版)以前「峯太郎よもやま話」で「敵中横断三百里」の映画との関連を類推したが、ようやくこの本を手に入れて比較することができる。
映画では冒頭シーンは重臣会議であった。しかしこの新版の本では冒頭は宮中明治天皇が深夜伊藤博文を呼び出され、ロシアと戦って勝つ見込みがあるのかどうか御下問がある場面で始まる。しかし次の章では
「いよいよ開戦するか否か、祖国日本の運命を決する最後の御前会議が、午後二時に開かれ、「元老」と言われる重臣の伊藤博文、……諸大臣が、天皇の御前に意見を申しあげ、遂に開戦と決定して、四時三十分に会議を終わった。」
とあるので、これが映画と相通じるのではないだろうか。
ところでこの台本は黒沢明によるものだが、岩波の「黒澤全集」にそれが採録されている。これは黒沢が「姿三四郎」でデビューするまえの1943年にかかれたものであるが、その原稿では冒頭の重臣会議のシーンがない。これはどうしたころだろうか。もしかしたら峯太郎が映画が出るのにあわせて本を再刊する時に加筆したのにあわせて、もう一人の脚本家として名前があがっている小国英雄が書き加えたのではないだろうか。このようにして他のシーンも比較すると面白いことがわかってくるかもしれない。